狐にバカされたおじいさん


昔はお祭というと、どこの町でもおみこしやお神楽、出店等で大にぎわいでした。家々でも酒、魚を取りそろえて、お客様の来るのを待っていました。旧暦の6月10日は那智神社(高舘)のお祭です。そして、たくさんの人が参拝に訪れました。

あ る年、おじいさんがふたりそろって「今日はお祭りだ。」と出かけました。下堀の土手をお話ししながら上がって行って親類の家に着いたのは、お昼ごろになっ たそうです。それから、四方山話しをしながらお酒やごちそうをいただいて、時間のたつのも忘れてしまい帰ろうかなと思った時は、午後の6時ごろだったそう です。ごちそうさまをしてお土産をいただいて上機嫌で、また下堀の土手を下がって来たら前のほうでとてもにぎやかな声がします。よせばいいのに、にぎやか な声のほうへ行ってみたところ、おかしなかっこうで5、6人が踊りを踊っていました。おじいさんたちも酔っているのでそれにつられてお土産をおろして一緒 になって踊りました。

そのうちに声もしなくなって、おじいさんたちも帰ろうと思ったころは、夜も明け方になっていました。

お土産を背負うと思ってみたら、ふろしきのお土産はなくなっていました。あっちこっち探しましたが見当たりません。おじいさんたちが踊りを踊っているうちに、狐たちはみんな食べて逃げてしまったのです。

ふろしきのそばには、狐の毛がいっぱいあったそうです。おじいさんたちが帰って来たのは、朝八時ごろだったそうです。

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