働くことを忘れた平六さん


笠島:かさしま (愛島:めでしま)の奥に平六さんと言う働き者の若者が住んでいました。何年働いてもいっこうに幸せがきませんでした。

あ る夜、神様が夢まくらで「あなたは一生懸命に働いてもだめ。果報は寝て待てと言うから、寝て待っていなさい。」と教えられたので、毎日毎日寝て待つことに しました。そのうちに三年がたって、また、神様が夢まくらに出て「今日から南へ南へ行ってみなさい。」と教えられたので、南へ南へと毎日行きました。いく ら歩いても何のこともないので、一休みしようと木の根に腰をおろしてあっちこっちを見渡すと、道路に落ちていた石でもない土の固まりでもない、不思議な物 を見つけました。早速拾って家に帰り神棚にあげて置きました。

何年かたって何の気なしに神棚を見上げると、道路から拾ってきた固まりが、美しい光を出して輝いているではありませんか。

平六さんは大喜びでとなり近所に話しをしたら、みんなは「平六さんは一生懸命に働いたから神様がさずけてくれたのだ。」と喜んでくれ、「大切に神棚に上げて置けばよいでしょう。」と言いました。

何年かたって、それとなく神棚を見ると固まりは一回りも大きくなって、前よりも強く美しく光って見え、家の中まで明るくなりました。

となり近所から見物人がくるようになり、その話しが聞こえて遠くから弁当を持ってくるようになりました。平六さんは菓子やパン等を売ることを考え、商売を始めたら、色々売れて大もうけをしたので、いつもの平六さんになってしまったそうです。

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